地域と由来
原産地:韓国・江華島(강화도/Ganghwa-do)カンファド
→ ソウル近郊にある海沿いの島で、昔から「薬草の島」として知られています。
「사자발쑥(サジャバルッスッ)」=“ライオンの足のような葉形”のよもぎという意味。
通常のよもぎより葉が大きく、裏面が白い産毛で覆われているのが特徴です。
江華島は海風・潮風・ミネラルが豊富で、香りと薬効が高いよもぎが育つ環境。
栽培と熟成方法
- 端午節(旧暦5月頃)に刈り取り。
- 海風が通る日陰で3年以上乾燥・熟成。
- 化学薬品を使わず、自然風と温湿度でゆっくり熟成させる。
- 熟成により「苦味・青臭さ」が減り、「甘く深い香り」に変化。
- クロロフィル(葉緑素)の酸化 → 色が落ち着いた褐緑色に
- 揮発性精油がゆっくり蒸散 → 香りのバランスがまろやかに
- 水分・揮発分が減ることで、脂溶性成分(ステロール類・トリテルペンなど)が濃縮
有効成分と薬理作用
| 成分名 | 作用 | 関連する体感 |
|---|---|---|
| Eupatilin(ユパティリン) | 胃粘膜保護、抗炎症 | 胃腸不調の改善、肌荒れ防止 |
| Jaceosidin(ジャセオシジン) | 抗酸化、抗アレルギー | 自律神経バランス、アトピー予防 |
| β-Sitosterol(植物ステロール) | 抗炎症、ホルモン調整 | 生理痛、更年期ケア |
| Chlorogenic acid(クロロゲン酸) | 抗酸化、血糖調整 | むくみ、疲労感の軽減 |
これらの成分は「3年熟成」で安定し、濃度が高くなる傾向があります。
韓方医学では「温中散寒(お腹を温め、冷えを散らす)」「調経止痛(生理を整え、痛みを和らげる)」とされる。
3年熟成よもぎに含まれる「ステロール化合物」とは?
ステロールってなに?
「ステロール(sterol)」とは、植物に含まれる油分(脂質)成分の一種で、
人間でいうところの“コレステロール”に似た働きをもつ、植物性の天然成分です。
植物ステロールには、
- 細胞を守る
- 炎症を抑える
- 抗酸化(老化防止)
- 血流を整える
などの作用があります。
よもぎのステロールは、特にβ‐シトステロールやスチグマステロールといった成分が多く、
皮膚や粘膜の炎症をやわらげたり、血液循環をサポートしたりする働きがあります。
韓国では、サジャバル(강화사자발쑥=江華島産よもぎ)を使い、
3年間乾燥・熟成させたよもぎからステロール成分を抽出・分析する研究が行われています。
この工程を「ステロール化合物の分離(isolation)」といいます。
よもぎに含まれる有効成分を科学的に取り出して、
どんな種類のステロールが含まれているかを調べた、という研究です。
この研究では、以下の4種類のステロールが確認されました。
| 成分名 | 主な作用 | 期待される体感・効果 |
|---|---|---|
| β-シトステロール | 抗炎症・血流促進 | 肩こり・冷え・生理痛の緩和 |
| スチグマステロール | 抗酸化・免疫調整 | むくみ・倦怠感の改善 |
| ドコステロール | 保湿・鎮静 | 肌荒れ・乾燥ケア |
| デヒドロエルゴステロール | 抗菌・代謝促進 | 発汗促進・デトックス補助 |
結果
- 香りが深く、落ち着いた甘みが出る
- 蒸したときに“芯まで温まる”感じが長く続く
- 肌への刺激がやわらぎ、保湿感が増す
といった変化が感じられるようになります。
三年熟成は、「香りが濃い」だけでなく、
分子レベルでも変化している“発酵植物”のような存在と考えられています。
よもぎ蒸しに使うときの特徴
| 比較項目 | 一般よもぎ | サジャバル(江華島産) |
|---|---|---|
| 香り | 青く爽やか | 深く甘く、薬草のような落ち着いた香り |
| 作用 | リフレッシュ・即効型 | 深部加温・持続型・鎮静効果が高い |
| 蒸気の質 | 軽く上がる | 粘りがあり肌あたりが柔らかい |
| 向く体質 | 気滞・軽い冷え | 冷え、疲労、更年期、体質改善 |
注意点
- 熟成よもぎは香りが強いので、敏感な方には短時間からすすめる。
- 妊娠初期・高熱・出血中は避ける(韓方でも禁忌とされる)。
- 乾燥保管時は湿気を避け、密閉容器で暗所保管(酸化しやすい)。
お客様に説明するには
韓国・江華島産のよもぎを3年以上熟成させた、プレミアムよもぎを使っています。
香りが深く、蒸気がやわらかく、身体の芯までじんわり温まるのが特徴です
今日はプレミアムの3年熟成よもぎを使用します。
最初の5分ほどで汗が出はじめ、20〜30分頃には全身がしっかり温まります。
香りが深いので、鼻からゆっくり吸い込むと気持ちが落ち着きます。
途中で暑く感じたらいつでも声をかけてくださいね
熟成よもぎは温まりが長く続くので、今夜は湯冷めしにくいと思います。
おうちでもし温まりたい時は、白湯を飲んでゆっくりお休みください。
特徴と効果を伝えるポイント
| キーワード | わかりやすい言い方 | 補足知識(スタッフ用) |
|---|---|---|
| 深く温まる | 「身体の芯からじんわり温まります」 | ステロールやユパティリンなどの脂溶性成分が濃縮され、持続的な温熱作用をサポート。 |
| 香りが濃い | 「ハーブティのような深い香りです」 | 揮発成分が落ち着き、リナロール・シネオールなどの芳香成分が安定化。 |
| 肌がしっとり | 「蒸気が柔らかく、肌がなめらかになります」 | ミネラルとステロールが皮膚表面を保護。抗炎症・保湿作用あり。 |
| リラックス効果 | 「自律神経を整えてリラックスできます」 | 香気成分が嗅覚を通じて副交感神経を優位に。 |
| 状況・悩み | 案内トーク例 |
|---|---|
| 冷えが強い | 「深く温まるタイプなので、冷えやすい方におすすめです。」 |
| ストレス・疲れ | 「香りが落ち着いていて、頭もすっきりします。」 |
| 生理不順・PMS | 「ホルモンバランスを整えたい時にも良いですよ。」 |
| 更年期・体質改善 | 「定期的に続けると、めぐりが整いやすくなります。」 |
質問対応例
| お客様の質問 | 返答例 |
|---|---|
| 「普通のよもぎと何が違うんですか?」 | 「熟成期間が3年以上あり、香りと成分がより濃縮されています。温まりの深さと香りの柔らかさが違います。」 |
| 「どうして熟成するんですか?」 | 「乾燥・熟成で青臭さが抜けて、脂溶性の有効成分が安定します。漢方でいう“薬効を熟す”工程です。」 |
| 「どんな人に合いますか?」 | 「冷えやストレス、更年期の不調がある方に特におすすめです。」 |
| 「毎回これにした方がいいですか?」 | 「体調や季節に合わせて変えるのも良いです。冷えが強い時や疲れが溜まっている時は、特にこの熟成タイプがおすすめです。」 |